第13回 南のシナリオ大賞 審査会ドキュメント

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第13回南のシナリオ大賞 最終選考会

(3) 「キンモクセイの調べ」
(3) 「はるしぐれ」
(2) 「沼子の人生」
(2) 「誰かの日記」
(2) 「バラダイス・ロスト-この世の果ての物語」
(2) 「さらさら願い」
(1) 「着納めのワンピース」
(1) 「精霊の光」
(0) 「雨の神様」
(0) 「通り雨」
(0) 「おじいちゃんが引きこもり」

()内の数字は審査員投票数

「雨の神様」

副島:大雨でコールドゲームになった高校野球の選手が、数年後に再会して……

盛多:最後は女の取り合いになる。

副島:野球、ネットショッピング、結婚って流れが安易。

盛多:展開が都合良すぎて、自然に見えない。

副島:コールドゲームになる場面の音の入れ方で、雨滴ポツリから雨音が大きくなって雷鳴って、そこだけ読んでも稚拙。全体的に未熟です。

香月:ドラマ作家としてはまだまだ駆け出し。

副島:女性の性格の悪さが受け入れられなかった。わざわざ男二人を呼び出しておいて、わたしこの人と結婚するのって、なんてデリカシーのない、なに考えてんのこの馬鹿女って。しかも遅刻してくるし。

盛多:そのへんの、人間のリアリティの乏しさが、初心者って気がする。

「通り雨」

副島:居酒屋でバイトしている男の子の精神的成長ものがたり。

盛多:職場でダメ評価されてる主人公がいて、事件があって快復して、職場に戻って頑張れよって、このパターンはもういいよ。

副島:オリジナリティがなさ過ぎる。既存のドラマを書き写しただけのような脚本。

香月:平凡でソツがない、分かり易いけども、設定や雰囲気が古くて。山場を作りすぎてる感じがした。

盛多:タクシー乗り場の場面で「逃げるんですか、自分のしたことから」ってセリフが出てくるんだけど、これがピンとこない。ここでこの男がこのセリフが言えるのかって。都合よく作ってる感じが強い。

「おじいちゃんが引きこもり」

副島:じいさん、なんで部屋に閉じこもってたのかな?

皆田:ばあさんが死んで?

松尾:好きな人ができたんじゃなった?

皆田:老人会に出なくなった理由は女絡み。

盛多:女絡みがよく分からなかった。

副島:そういう話を隣家のおばさんから聞くけど、はっきりしない。

盛多:カラオケの「365歩のマーチ」を19歳が唄うってのがピンとこない。

皆田:疑問を持たせたまま終わってますよね。どんな女絡みだったのか、それは解決したのか、ただ出てきただけやろ。

副島:女絡みで引きこもっているじいさん呼び出すのに、なんで「365歩のマーチ」なのか? 母親が子どもたちを呼びつけてじいさんの家になぜ集まるのか? なにをやろうとしたシナリオなのかも分からない。作者には何かオチるところがあるのかな、これ。

松尾:天の岩戸の話で、歌って踊って出てきたじゃないですか、アマテラスが「なんばしよっと?」って。

副島:はい。

松尾:それとおじいさんの引きこもりを掛けている。

副島:なんのために?

香月:発想が高千穂なんですよ。高千穂に行ったか聞いたかして、これ面白いと思って、それをアイディアにしたんじゃないかと思う。これはコントですよ。コントとドラマの間には明確な線引があると思う。
面白かったけど、すごくもたついてる。

盛多:ラストの「遺伝子って怖いわ」ってセリフ、笑えないな。

「着納めのワンピース」

香月:さり気なくて上手くて、跳ねてないけど地味で心地よい。ぼくはこれを二重丸で推したいんだけど。けっこうテクニックが良いんです。ドラマ化して非常に聞きやすいラジオドラマが出来るんじゃないかと思える。作りやすいですよ、この脚本は。

盛多:読んだあと、いちばん印象に残っているのがエメラルドグリーン。ラジオドラマというより、映像みたいな気がしてならない。

皆田:色の話はキーポイントだと思うので、ラジオ的にはどうなんだろうなって気はしました。エメラルドグリーンの海ってこんな色だったっけ、とか。

香月:テレビで実際出すと、エメラルドグリーンは軽くなっちゃいそうですね。

盛多:軽いかどうかぼくは分からない、撮り方によって色彩は変わってくるんで。そういうことじゃなくて、色をテーマとして考えたときの話。エメラルドグリーンのワンピースを着るっていうのは、女性にとってどうなの? そんだけの何かがある?

松尾:明るい緑色って普段は着ないかな。

盛多:保育園の送迎で服装にこだわってるお母さん方って見たことがない。帰ったら御飯作らなきゃ、洗濯しなきゃ、掃除しなきゃって感じで。みんな機能優先の服着てる。

副島:子育てと会社勤めの往復、お洒落に気を遣うゆとりがない。関心を向ける余裕がない。

盛多:それがエメラルドグリーンのワンピースを着ることによって、私は人生変えるのよって。主人公の意思表示として出すんだったら、やっぱり映像かなって思いますけどね。

香月:ぼくはエメラルドグリーンというキーワードよりも、その前後に揺蕩うている文章の流れ、セリフのリズムに惹かれたんですけどね。

皆田:大城という男とのやりとりなんですけど。ワンピースを着て来たときに(大城が)見つめるんですよね。そういう引っ掛かりを作ってあるんですが……ツンデレじゃないけど、自分に無関心と思っていた人が実は好意を寄せていた。

香月:パターンといえばパターンですけどね。

皆田:ふたりの恋話に発展するわけだけど、大城って男の情報が少ない。無表情で仕事オンリーってことしか書かれてない。

盛多:そんな大城が誘うんですよ。

松尾:ランチに誘われるんですよね。

盛多:それに乗っちゃうんですよ! 女ってそういうことなの?

副島:身近なところで誘いがあったから乗っちゃったって。尻軽いよね、このお母さん。

松尾:大城さんが斎藤工みたいな人かも知れないじゃないですか。

皆田:娘が(母親にお洒落な服装を求めているのは)ライバル心からそうしているじゃないですか。そっちの話のほうが、ぼくには温かかったんですけどね。

副島:子持ちバツイチの等身大のラブストーリー。流行の周回遅れというか、これまでに(そんなドラマは)たくさん作られているのに、いまさらまだこんなの書いてるの、って感じです。

盛多:ぼくのなかでは「着納めのワンピース」と「通り雨」って似ているんですよ。レベルは「ワンピース」が断然上なんだけど。こういうドラマは、いままでいっぱい見てきた感がある。

皆田:些細なことかもですが、営業やっているOL(主人公)がワードも使えなかったというのはどうなんだろ。バックスペースで消すって教えられる場面があったんですけど、それすら知らなかったとか。

精霊の光

副島:ひところ流行ったんですよね、臓器提供者の人格が乗り移っちゃうとか声が聞こえてくるとか。10年くらい前にむちゃくちゃ流行ってた。

松尾:分かり易いし、シチュエーションが想像しやすいけど、お母さんとの絡みのバランスが物足りなかった。お母さんから逃げたかったわけでしょう? でも(主人公は)わりと自由に動いてるじゃないですか。

副島:(母親が)過保護で身体のこと心配している、だから主人公の行動をもっと過剰に束縛しているという感じが出せていれば、もう少し(ドラマ性が)強くなってたかも。
男の子に自覚はなかったけど、心臓を提供したひかりちゃんも自分と一緒に育ってたんだなって、そのあたりで不思議な感覚を作れたんじゃないのかな。

香月:心が2つあるってセリフがあるでしょう、このセリフにジーンときたんだけど。あれを結末まで引っぱってこなきゃいけなかった。
テーマが観念的すぎて、まだ青い。人生とは何かみたいな哲学がモロに出ているでしょう。硬直な感じ。冒頭のモノローグに結論が出ているじゃないですか。あれできついなって思った。

副島:一緒に生きていたひかりちゃんが、ラストでいなくなっちゃうのは、なんでかな? 結末で失速してる。

皆田:母親との葛藤は、これで解決したってことですか。

副島:そこに精霊流しをぶつけてる。だったら、ひかりちゃんはそれで成仏したってことになる。

盛多:そう結びついてしまうのが自然な流れ。

松尾:男の子がひかりちゃんの存在に気がついたから、それでもう(ひかりちゃんはお役御免と)成仏できた。

香月:物語としてはきちんと締まるけど、それだと定番にすぎる。

沼子の人生

皆田:ぼくはこれがいちばん面白かったですね。(表紙見たときに)「ショウコ」って読むのかなと思ってたんですけど、「ヌマコ」って、名前がおかしかった。

松尾:このキャラは「ヌマコ」じゃないとダメなんです。

皆田:で、姉が玲子って。

副島:命名した親に恨み抱いて当然みたいな。

松尾:沼子のインパクトが凄くて。おかあさん早く焼いちゃえとか言うでしょ。なんて悪い人なんだろうって。

香月:読後感が爽やかじゃなかったね。

副島:家族の人間関係がものすごく分かりづらかった。甥が新婚旅行で来てたり、その嫁さんが外国人だったり、姉夫婦は海外にいたりして。状況設定がギクシャクしてて、すんなりと頭に入ってこなかった。人物表と本文と見比べながら何度も読み返しました。

香月:ゴテゴテしてるからね。ラジオで通り一遍に聞いたとき、すんなり頭に残るだろうか。人物の理解が非常に難しい。
悟という人物が出てくるけど、いっさい姿を見せない。ラジオの場合に残りにくいんですよ、こういう使い方すると。それと回想シーンが難しい。

皆田:引きこもりになったのは、悟という男にふられたから?

松尾:ただふられたってだけじゃなくて、姉が取っちゃったから。

盛多:これ、最後の長ゼリフで全部を解決させてるじゃないですか。お母さんに話しかけてる、ここにすべてが掛かってるんですよ。ここだけで決まっちゃう。沼子の強烈なパワーで全部を締めてる。

副島:ラストはドヴォルザークの音楽に頼りきっちゃった。この悪態にあの音楽でしょ、しんみりきますよ。その相乗効果でいっきにクライマックスを盛り上げる。

盛多:そこに集約してる作りは、面白いと言えば面白い。

誰かの日記

副島:記憶喪失の男、病院の朗読ボランティア、それで読むのが作者不詳の「誰かの日記」。設定のリアリティのなさに呆然とした。本文にも書かれているけど、この日記の文章というのがとてつもなく稚拙で。悪口というか嫌味な言葉がダイレクトでしょう。

香月:あり得ない文章ですよね。然るべき年齢の男が書いた日記じゃない。作者の気持ちがそのまま出ている。

盛多:正直言うとぼくも、これを男が本当に書いたんだろうかと疑問に思うところがあちこちにあった。記憶をなくしたという設定のうえで、この日記は旦那が書いたと見せているんだけど、実はこの女が書いたものを朗読しているんじゃないかと。

皆田:奥さんは、なんのために読み聞かせやったんでしょう。

盛多:それは未練があったからでしょう。男の最後のセリフで、また来るかしらって話で終わってるじゃないですか。女の方は、気づいて欲しいというのがずっと底辺にあって、私のことに気づいてよ、みたいな。だから、この日記は女の創作じゃないかなと思っちゃったんですよ。

香月:読んでいて境界線がはっきりしなくなってきた。

皆田:普通ボランティアだったら何かの本持っていって読むんでしょう。それを、ちょうどここに在る日記を読みますねって読み始めるんだけど、彼女は事前にその中身を知っておかないと、こんなことはしないわけで。中身を知っていて、お前はこんなことをしたんだぞ、私たちはこんな思いをしていたんだぞと知らしめている。それに対して、夫は酷い奴だなって言ってるんです、自分のことを。自分とは分かっていなかったんでしょうけど。だからこの女の人って凄いなって思って。

香月:やっぱり自分の思っている方向に引っぱっていきたいって気持ちがあったわけですよ。だからその方向に沿うものだけを読んでいる。
最初に持ってきた本の描写をもっと明確にしておくべきでしたね。それをしていないから、境界線がぶれてしまってる。あるいは故意に引っかかりを作ったのかも分からないけど。

盛多:引っかかったのは、「恋をしたときの万能感ですかね」って女のセリフ。万能感ってなんなんだろう?

香月:おれも意味分からなかった。

盛多:恋の万能感。つまり、恋はなんでも出来るのよっていう、ちょっと極端ですけど、するとこれはぜんぶ女が仕組んだことだったという流れで。ラジオドラマだから成立しますけどね。

香月:設定をしっかり書けばそれ出ると思うけどね。女と旦那が分離しにくい。そこをツールとしてはっきり使えば良かった。

皆田:でも実際は彼が書いた日記なんですよね。「ちょうどここにある誰かの日記を読みますね」ってセリフがあります。

香月:じゃやっぱり現物があって、それを読んでるわけだ。

盛多:女が書いたというのは、深読みしすぎだったですね。

副島:朗読の途中に、肌に触れる艶めかしい描写がありましたが、そのへんは官能的でうまいと思った。

キンモクセイの調べ

副島:キンモクセイの匂いとエリーゼの調べが不安な雰囲気を醸し出している。その雰囲気を買って私も票を入れているんですが、内容はよく分からない。

盛多:ラジオドラマとしてそれなりの雰囲気は出せるかな、とは思いますが。少女が幽霊だったってオチをどう作れるか。

香月:確かに雰囲気は良かったけど、ちょっと拙い。もう少し技量があったらもっと良くなってたと思う。これの欠点は、入りが面白くないのと、セリフが日常的で弾みがない。エネルギーに乏しい。それと、全体を覆っている少女趣味が気になった。可愛くはあるんだけど。

松尾:読みながらずっと、頭の中でピアノが流れていた。

香月:正直言って、いまさらエリーゼは聞きたくないね。

盛多:エリーゼのためにって、小学校の給食の時間にいつも流れてた気がする。

副島:子どもがピアノ教室で練習する曲なんですよ。

盛多:ということは、このドラマのピアノは子どもが弾いてるエリーゼってこと?

副島:そうですよ。

皆田:よく分からないのは、主人公の女の子(6歳)がマリちゃんという死んだ女の子と遊ぶんですよね。それで(登場人物表に)36歳ってあるんだけど、現在の自分の娘に6歳のときにあった不思議な話を聞かせているのかな、と思ったんだけど、そういう場面はない。大人になってるシーンってありましたっけ。

香月:(36歳の)シーンを書いたあとで削ったんだけど、人物表を訂正するのを忘れたとか。ときどきありますね、そういうの。

副島:(登場人物表を見て)すごいな、この脚本の登場人物ぜんぶ女性だ。

盛多:そういうのも嫌だな。

松尾:たぶん作者の方も女性じゃないかな。

パラダイス・ロスト-この世の果ての物語

副島:沖縄の離島に誘拐されていた双子が、おばあと3人だけで暮らしている。

盛多:最後におばあは自殺しちゃう。

副島:船から飛び降りる。

松尾:(おばあは)なぜ誘拐したんですか?

副島:分からない。

盛多:そこがいちばん大きい。

松尾:金髪の子だったんでしょう?

副島:青い目をした外国人ですね。

盛多:(おばあは)沖縄戦で酷い目に遭ったってセリフがある。

松尾:それに仕返しする、復讐、みたいなことで誘拐した?

盛多:そのぶんの罪悪感があって自殺したのか。

副島:罪悪感とは違う気がするけど。

皆田:おじいもグルになっているんでしょ。知ってたんだよね、双子が誘拐されていたことを。

副島:知っていたでしょうね、毎回食料とか運んでたから。

皆田:このおじいも死んでるんだよね。

副島:死んだから、代わりに甥っ子の末吉がやってきた。

香月:辻褄は分からないんだけども、おばあがラストで死ぬっていうのはドラマのカタチとしては良いですよ。

松尾:衝撃的ですよね。ぜんぶ謎のまま蓋をしちゃうっていう。ミステリアス感は好き。

副島:声だけだからこの子たちが外国人だって分からない、そのあたりにラジオドラマらしい捻りがある。

松尾:標準語で会話してたと思ってたら、後半コテコテの八重山方言になってる。

副島:最初は主人公ケンのモノローグで始まるんだけど、9ページで漁師の末吉が出てきてからが後編で、そこから末吉の視点でストーリーが語られる。個性的なアイディアで印象に残る構成ではありますが、誘拐の理由も分からず、テーマも提示されていないまま終わった。

香月:末吉は謎解きの役割ですね。最後は戻ってはいますけど、竹に木を接いだって言う感じが強い。
最近沖縄に強い興味があって、宮古島もそうだけどあちこち取材に行ったり調べたりしてるんで、この作品ぼくは非常に好きなんです。好きだけど、あっちこちに穴ぼこが多すぎて。末吉が登場してからドラマがボコボコに壊れちゃったから、がっくりきちゃんたんだけど。
末吉なんか登場しないで、謎解きなんかしないで、そんな島が何処かにあるらしいみたいな、前半のままの流れで物語を作れば良かったのに。

皆田:地元新聞の記事をアレンジしたのかな? 実際にそんな事件があったのかは分かりませんけど。

はるしぐれ

香月:ラジオドラマの小津安(小津安二郎)版。ぼくはこういうの好きです。すごく作りやすい。気楽に作れますよ。

盛多:正直言ってぼくも好きです。「誰かの日記」よりも好きです。

松尾:情緒的ですよね、淡々とした感じの、映像にしたほうが伝わる。

盛多:淡々とした感じは、そうなんだけど、ぼくが好きだったのは、途中でバス運転手のアナウンスが程良く入ってくるところ。これってけっこう雰囲気いいかなと思って。

皆田:ずっと雨の話をしていて、夜に着くのか朝に着くのか知らないんですけど、最後は虹が見えたらいいかなと、思ったんだけど。

盛多:大雨の音、雷、夕立ち。この雨の音3つが欲しい。秋雨と春時雨(の違い)が分からん。

副島:雰囲気だけのドラマ。作者はいい気分で酔って書いたんだろうな。ずいぶん都合の良い展開。

香月:でもうまいですよ。

副島:雰囲気つくるのは巧いですね。

さらさら願い

副島:河童の恩返し。皮肉なオチがついた民話ベースの童話です。

盛多:最後におねえちゃんが死んじゃうというのが好きだった。

松尾:えー、おねえちゃんが死んじゃうの、ン? と思いましたよ。

盛多:でも死ななかったら普通の話になっちゃう。

松尾:でも、そんな簡単に身代わりになる?

香月:あそこで、単純な童話がドラマになってるんですね。

盛多:票は入れなかったけど、このラストは好きでした。

香月:うまいですよ、流れが非常に良いし。

盛多:河童が喋ってる言葉って何処の方言?

皆田:佐賀っぽくないですか?

副島:ぜんぜん佐賀じゃないですよ!

松尾:筑後と大分が混じってる?

副島:大分っぽいけど。

香月:河童語でしょ。

松尾:語尾が大分っぽい。

これより最終審査-方針として大賞は出したい

副島:今回3作品に票を入れてるけど、全部三角評価なのは、推したい脚本が1本もなかったからです……どれでもいいです。

香月:多少、わたしもそういう気持ち。(選考対象の作品は)みんな、ほとんど同じ点数。

盛多:いちおう方針としては、大賞は出したいな、と思ってます。該当なしというのは避けたい。

副島:1票しか入っていない「着納めのワンピース」と「精霊の光」は落としていいですか?

盛多:いいです、いいです。

副島:どなたか心残りあります? 「着納めのワンピース」(落として)いいですか?

香月:はい。

盛多:「はるしぐれ」と「誰かの日記」かな……というのは、男と女ふたりだけのやりとりの収録をやってみたいな、って気持ちがあって。好きなのは「はるしぐれ」なんだけど。

副島:そのコメント残しておくと、来年(の応募は)そればっかりになっちゃいますよ。

盛多:それは嫌だ、やめておこう。

副島:「はるしぐれ」と「誰かの日記」は、どちらも記憶喪失で、どちらも男と女の二人芝居。

香月:どっちかひとつは落とすべきじゃない? 似ている2作を大賞と優秀賞には出来ないと思う。

盛多:ぼくとしては「はるしぐれ」を選びたい。

松尾:うん、わたしもどちらかなら「はるしぐれ」。

皆田:「誰かの日記」は、ちょっと作者と話をしてみたい感じがします。

南のシナリオ大賞審査会_02

最終審査 サバイバル篇

副島:「沼子の人生」「キンモクセイの調べ」「パラダイス・ロスト-この世の果ての物語」「はるしぐれ」「さらさら願い」。5本残っているので、2本落として3本に絞りますか?

盛多:「さらさら願い」は、なんだか捨てがたい。

松尾:可愛いですよね。でもおねえちゃん死んじゃうの。

副島:作品全体にデコボコ感がないのは「さらさら願い」でしょう。(候補作のなかでは)いちばんきちんとまとまっている。

皆田:うまいですよ。でも内容が薄い。

香月:縦から見ても横から見てもこれが大賞だ! っていうゴツい作品ではないですね。

松尾:去年も一昨年も、(大賞は)骨格がしっかりした作品でした。

香月:今年はブッチギリがないもんね……おれ、もう帰ろうかな?

松尾:帰っちゃダメですよ。

副島:(ドキュメントに)ちゃんと書いときます、審査放棄って。

香月:副島さん、ほんとに正直に書くからね。

松尾:怖い怖い。

副島:外すとすればどれですか?

皆田:河童。

副島:わたしは河童は残しておいて欲しいな。

松尾:わたしも河童は嫌いじゃないです。

香月:ぼくも河童は残してほしい。

副島:ということで河童は残す。

盛多:「さらさら願い」は残る。

副島:「はるしぐれ」はどうですか、残したほうがいい?

香月:「はるしぐれ」は残しましょう。

盛多:3票入ってるので残しましょう。

副島:「パラダイス・ロスト」はどうでしょう?

盛多:これ作りにくいよ。けど、優秀賞ならありだな。

松尾:シチュエーションはかっこいいですよね。

副島:けっこう印象にのこるアイディア作品です。

盛多:「パラダイス・ロスト」を残したときに、「沼子の人生」と「キンモクセイの調べ」を落とすってことになりますが。

皆田:「キンモクセイ」は幽霊と遊んでいたんですよね。不思議な体験があって、それでどうなったんですか?
例えば「精霊の光」は、これもぜんぜん話は弱いですけど、心臓を移植した子が過保護で、母親との葛藤があったりして思いどおりに生きられないって問題を抱えている。そこに心臓を提供してくれた少女が現れて、それによって、母を説得してでも自分のやりたいように生きるんだ、みたいな成長が描かれているじゃないですか。
でも「キンモクセイ」は、不思議な体験したのよ、って言ってるだけ。(登場人物表に)36歳ってあったから、お母さん小さい頃にこんな不思議なことがあったの、それで今ではこんなに上手にピアノが弾けるようになったのよって、自分の娘に語ってるみたいな話だと思って読んでたけど。でも、36歳のシーンは無かった。
物語とかドラマって、主人公が成長したりとか変化が描かれているものだけど、これは、ただ不思議な体験をしました、で終わってる。

盛多:たぶんこの作家の狙いは、物語の方向性をこっちに引っぱってきておいて、実はこうだったんだよっていう、そこだけに集約してる気がする。

松尾:映画「シックス・センス」的な、そうやったんか! みたいな(驚き)。

香月:「キンモクセイ」は弱いと思うよ、全体的にみて。これが上位入賞ということなら、ぼくは反対。入賞3本には入れたくない。

南のシナリオ大賞審査会_01

副島:「沼子の人生」どうですか?

盛多:そこをいま悩んでる。

香月:ぼくは落としてもいいと思う。

副島:わたしも、そんなに良いと思わないけど。

皆田:中高年の引きこもりっていうのも、いま時代ですよ。

香月:読み終わったとき、なんか嫌な感じが強く残って。

皆田:それほどしっかりした、インパクトのある作品だ、ってことです。好みだと思うけど。

松尾:酷いもん、沼子さん、凄いもん。沼子を誰かが演じてるのを聞きたい。なんて強烈な人なんだろうって、聞きたいよね?

盛多:何を選んでいいか、だんだん分からなくなってきた。

副島:優秀賞3篇というのはどうですか?

盛多:あり得ます。

副島:では、皆田さんが強く推しているので「沼子」は残して。「キンモクセイ」が消えますけど。

香月:消していいです。

副島:松尾さんは?

松尾:いいです、わたしは「沼子」が残れば。

盛多:「沼子の人生」は作りたくない。

皆田:面白いのに。

香月:皆田さん作りませんか。

でも大賞は出したほうがいいですよ

副島:今回は大賞なし、優秀賞4篇でよさそうなんだけどなあ。

香月:おれもどっちかというと、そんな感じね。

皆田:でも大賞は出したほうがいいですよね。

盛多:優秀賞4篇としても、どれか1本は作っているじゃないですか、東京の方も。

副島:あれは放作協が作ってるんじゃなくて、NHKに丸投げでしょ。

松尾:「はるしぐれ」じゃないですか、3票入っているし。

盛多:ちょっと待って。ショック度という言葉を使っていいか分からないけど、(「さらさら願い」の)最後に子どもが死ぬって話のほうがショック度が強い。誰も予測しないですよ、この結末は。

副島:ラストにポーンとシーンが飛ぶ、あの切れ味はいい。素晴らしいと思います。

香月:でもなんかねえ、南のシナリオ大賞ってこんなもんかって思われそうな気もする。

副島:「はるしぐれ」か「さらさら願い」だったら、やっぱり「はるしぐれ」ですか?

香月:その2本を比べたら、そうですよね。

盛多:作るとしたら、無難に「はるしぐれ」か、冒険で「沼子の人生」かな。

香月:作りようによっては「沼子」はパンチがあるかも知れないけど。

松尾:主人公のパワーはもうダントツでしょう。沼子、悪いもん。おかあさんを早く焼けって言うしさ。

盛多:仮に「沼子の人生」と「はるしぐれ」の二者択一とした場合に、どっち選びます?

南のシナリオ大賞審査会_03

松尾:2本作れないんですか?

副島:甲乙付け難いのが2本あって作るのなら意味分かるけど、大賞該当なしで2本っていうのは……

皆田:講評で、今回は例年よりレベルが低かったっていうのを一言添えておけば、いいのかなと思うんですけどね。

松尾:ラブストーリーって(過去の大賞に)ありました?

副島:去年が長崎の中学生の話(「言霊のエール」)で、その前がクラゲ(「無心の水槽」)で、その前がお葬式(「備えあれば憂いなくなるお葬式」)。

盛多:「はるしぐれ」でいきますか? 「沼子の人生」も作りたい気持ちがちょっとだけしてきたけど。「はるしぐれ」は上手く作れば、音楽とバスの音で、ちょっとお洒落なものになりそうな感じ……あと雨の音をどうするか? 夕立ちは分かるんですよ、雷があって叩きつけるような激しい雨音で。でも春雨と秋時雨の音って……

副島:おれだったら、バックにピアノかなんかの雰囲気入れてやりますけどね。雨の音なんて聞いてるぶんには違いが分からないですよ。音源に秋雨ってタイトルがあるからこれが秋雨だんだろうって認識できてるわけで。

盛多:「はるしぐれ」を作るとして、それを大賞にするのか、それとも優秀賞4篇で発表するのか。

皆田:いちおう、大賞は選んだほうがいいと思いますよ。

松尾:同列に並べると、他の作者さんが、どうして私の方を作ってくれないのって。

盛多:そうすると、単純に「はるしぐれ」を大賞にしたほうが話がわかり易い。

副島:優秀賞は例年どおり2本に削りますか。「パラダイス・ロスト」にも賞状あげたいですか?

香月:あげたいね。ぼくは「沼子」よりもそっちの方を買ってる。

副島:では「パラダイス・ロスト」まで優秀賞ということで。

盛多:大賞を「はるしぐれ」で、「沼子の人生」と「パラダイス・ロスト」と「さらさら願い」を優秀賞。

松尾:ぜんぜんタイプが違いますね。大人っぽい情緒的なものもあるし、子どもっぽいファンタジーもある。強烈なキャラの沼子もいる。

副島:入賞した4本のシナリオはホームページに掲載しますから。

香月:来年応募する人の参考になるでしょう。

2019年10月19日、福岡市中央区赤坂
審査委員:盛多直隆皆田和行副島 直香月 隆
実行委員:松尾恭子

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第13回受賞シナリオ [PDF形式]

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