第16回 南のシナリオ大賞 二次審査通過作品

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第16回南のシナリオ大賞 二次審査通過作品

二次審査員の寸評(応募順)

かわんちゅ
とてもテンポよく自然な流れで、物語がすーっと入ってきました。娘と父の表情や川を渡る船の光景が、ありありと浮かびます。後悔が回収されて、娘も人として少し成長できたのかなと感じました。悲しいけどハッピーエンドで、気持ちのよい読後感を得ました。

ボゼとして生きる
奇妙なシチュエーションを想像させながら、繰り返されるリズムで、ばかばかしくも楽しかったです。ボゼとはどんな姿なのか、どうやって作るのかなどの描写はもっと欲しかった。「都会的無関心」に対して登場する「ボゼ」や「島」をどう扱うかで、何か芯のあるドラマになるのではないでしょうか。

ア・イ・シ・テ・ル
コロナ禍の今だから、妙にリアルさを感じる展開。発想は良い。先の展開が気になる仕掛け。ただ、若干表現がエグいので、ラジオドラマとしては好き嫌いが分かれるのかな…。ラストのオチは読めただけに、もう一捻りしていたらマルだったのに惜しい。

ちりんとくん
風鈴が意外なところから出てくるラストが印象的でした。登場人物の情報が適度に配置され、凝縮されていて、読みごたえがありました。切実な人間ドラマで、切実な台詞が紡がれる中、博多風を表現するための「なんしようと」、中華風のための「アイヤ」などの言葉が形式的で、浮いてしまっているように思いました。

ナカタナカ
昔、漫才のコンビだった男たちの話。今は、その二人は生きる為に別々の道に進んでいる。細かな点まで二人の友情の深さ描き、二人の気持ちが分かってくる。そして、久しぶりの再会で再びコンビ再結成へ。よくある着地点だがそこまでの運びをテンポよく描いてる。欲を言えば、すんなり再結成にいくまでにもっと事件が欲しかった。

牛喰って地固まる
親子の会話が足りていないという関係性を、説明やナレーションもなく表現できていて素晴らしいと感じました。題名も洒落が効いており、内容にぴったりでした。なんだかんだで父をきらいではない兄妹も素敵で、3人のやりとりが面白かったです。

君からの贈り物
心がほっこりするいいお話。テンポも軽快で飽きない。ナレーションも少なく、しっかり会話で状況を説明しているところに脚本としての好感が持てますね。ただ、ラストがあまりにもありきたりだったのが残念。

穏やかでいい作品です。主人公の心の揺れもよく描かれています。それだけにP9の「今までの~蟠りがとけた」の一行は、そこで一気に気持ちの説明がされてしまって、以後の心の動きや話の展開が活かされなくなり、残念だと感じました。「」の中の読点(。)の使い方や、オーディオドラマであまり使わない「……」など、書式をもう一度確認された方がよいでしょう。

モモサン
パズルのような台詞の仕掛けが巧みでした。鐘の音や精霊流しなどの長崎のモチーフが、音声的にも心象的にも効果的に使われていて、きれいでした。きれいなドラマで、整っていて、サラッとした印象です。真夏の長崎の暑さ、人間の感情の割り切れなさ、といったベチャッとしたものが(主人公はそれを感じない存在になっているとしても)もう少しあっても良いかもしれません。

水面月
人間なら誰しもが持っている感情を暴いてくれた、凄みを感じました。自分のおこないを振り返るための、きっかけをくれる作品です。最後に「じいちゃん」を忘れてしまう場面は淋しいですが、本当に「化け物」になってしまったのだなと納得できるよい演出でした。

遠い日の記憶
台詞も無駄が無く、人物の設定やドラマ運びもスムーズです。過去と現在との繋がりや往来も無理なく理解でき、書き慣れた作品だと感じました。ただP15の「私は覚悟を決めた」-この直接的な台詞は必要だったかな? 前後の流れの中でその決意を聞き手が感じとる-それはある程度できているし、そもそもある程度の覚悟をもって病院まで来ていると思うので。注意点として、途中から「咲良」が「きらら」に変わっています。そしてもう一点。もう少しタイトルに工夫が欲しかったですね。

ペンギンの船
難しい設定を巧みに動かして、ストーリーを展開しています。「20数年経ってから、死後の部屋で母子が再会する」という流れも、運びや台詞の巧みさからか、なんの違和感も感じませんでした。亡くなった人への想いが手紙で届くという発想や、主人公と母親の両方を知る園長の存在もうまく使われていました。ハッピーエンドではなかったけれど、最後のMは余韻の残る綺麗な締めになっています。ただ、主人公が亡くなって時間が経っていない印象ですが、精霊船や爆竹はその年の初盆に(普通は何ヶ月も経って)行うのではないか、と違和感が残りました。

母と息子のと絆の物語。二人の関係は息子が母のことを嫌っていたが、実は後に母の深い愛情があったことが分かってくる。そこまでのストーリーが旨く運ばれている。場面場面の展開にも驚かされる。そして、エンド。ここにも、アッと驚かされるが、そうだったのかと納得してしまう。最後まであきずに読めました。

日の出屋のごほうび
ほっこりする物語。その世界を作り出しているのが駄菓子屋のおばあさん。その存在に昭和の匂いがしてくる。主人公は自分の意見がまとも言えないウェブデザイナー。おばあさんとウェブデザイナー出会いが何事も他人のせいにする主人公の生き方を変えていくきっかけになってくる。キチンと伏線があり、それも回収されている。幻の焼きソバも、いいアクセントになっている。

青空の彼方から
設定が面白い! ゲームの中で、亡き夫の幻影を追い続ける祖母の姿に興味がそそられる。初期の展開で祖母の言葉遣いが気になるが…(若すぎる?)実はゲームの中で16歳に戻っていたという設定で納得。戦争、殺人、ハードな内容だが、「ゲーム」というオブラートに包んでいるおかげで、ネガティブには陥らない。周囲からは色眼鏡で見られる祖母の姿がリアル。さらに、ゲームの中で同世代の孫と対等に渡り合う祖母の姿も妙に愛おしく感じる。認知症、ゲーム、戦争、現代の様々な事象と問題を上手に詰め込んでいるなと…少しハラハラしながら、でも、優しさがある。単純に面白かった。

以上、13編

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