高校放送部が制作したラジオ番組を紹介しています

【概要】とある高校の放送部室長・杏奈がマンネリ化した放送を改革するため、男子部員で機械担当の大輔をアナウンスに抜擢する。それはこれまでアナウンスは女子が行うという慣例を破ることであった。大輔は自分にアナウンスなどできるわけないと思い込んでいたが杏奈と３週間に渡る特訓の末、見事放送を成功させるのだった。大輔はこの成功を通じて、人間変わると思えば変わることを実感したのである。

【講評】　日本放送作家協会九州支部　香月 隆

主人公の杏奈さんのハキハキした喋りがとても印象に残りました。こういう室長がいれば男は奮い立つしかないものです。テーマも非常に明確だったと思います。ただこのテーマをとにかく語ることばかりに気をつかいすぎたのではないでしょうか？まず冒頭と終盤に主人公のモノローグで同じことをしゃべらせていますが、一度で十分でしょう。さらに言えばテーマをわざわざ語らなくても、ドラマを聞くだけテーマを感じさせるのがいいドラマの条件です。
あとはドラマの起伏がない印象を受けました。原因は非常に明快で、主人公である杏奈と大輔に失敗させていないからです。ありきたりかもしれませんが、例えば大輔が一度アナウンスに失敗して、周りからボロクソに言われて、杏奈も大輔との関係を疑われたりして、二人を窮地に追い詰めた後に、もう一度奮起してアナウンスに臨む……、といった展開を考えてみるのもドラマを作る醍醐味ではないでしょうか？