第12回南のシナリオ大賞 二次審査通過作品
二次審査員の寸評(応募順)
言霊のエール
さわやかな物語で好感が持てる。二人の女の子が始め距離感が有りながら長崎のペーロン祭りを介していっきに距離感を詰めていく。青春の応援メッセージになっている。
宣告
リストラ残酷物語と表現すればいいのかな? リストラ宣言をして、社員を辞めさせてる男に、残酷な宣告がある。そこが、ドラマ的になるのかな?
漂流日記
目立たない会社員が先輩の女社員に好きになる。その女社員は自殺してしまう。サスペンス仕立ての物語。展開は面白いのだが、「漂流郵便局」で全てを解決してしまう。その「漂流郵便局」の使い方に、ちょっと問題がある。
化粧破り
テンポよく会話がすすんでいく中、いわくありげな主人公の妻のキャラクターが作品に変化をつけていて、最後まであきのこない展開となった。認知症の老人を主人公にしているが、重くなり過ぎず、それでいてなんともやるせない結末に、人生の重みを感じることができた。
午後四時五十八分の悲劇
巧みに話しを展開しながら、ラストまで一気に引っ張っていく力強さがあった。主人公の日常を覗き見する面白さ、ありえない滑稽さの中に、今の社会の利便性についていけない主人公の老いに哀愁を感じられたところが、余韻となった。
リュウグウノアナタ
あの魚の神秘性を良くここまで使い切ったと思う。あえてカタカナのタイトルも良い。死んだじいさんとのやりとりは、ドラマにし過ぎた見方もあるが、これもありか。船に傷んだ様子はないのにじいさんだけいない云々の神秘性を増す一節を加える辺りもうまい。しかし、あのグロい魚に「リュウグウノツカイ」という名前を付けた人、天才。
ロイ2018
家庭用アンドロイドは、SF的にも使い尽くされた観もあって、逆に使いにくいネタとも思われるが、それでも最後までしっかり読ませてくれる。短いセリフをテンポ良くつないで読みやすいし、飽きさせない展開もうまい。予定調和のストーリーであっても、読み応えのある作品に仕上げる筆力を感じる。ドラマとして聴いてみたい。おそらく筆者は電気羊の夢を見ている。
ほんの15分のこと
漫才か落語のような軽いノリの話しだし、よくありそうな話だが、テンポの良さや話の運び、人物の配置など、簡潔でオーディオドラマをよくわかった作りで面白い。
ボケっと部
話の運びや送りがうまく、よくまとまっていると思う。ただし、台詞やMが長い箇所が多い。先生の秘密も専門的すぎて聞くだけで理解するのは難しいかもしれない。もっと単純ものでよかったのでは。夕陽の訓み、性別ははっきりわかるようにすべき。「腹式呼吸で吐く音?」音だけで表現は困難。
12の言の葉
亡き人からメッセージが届くという展開は定番で、夫の内面の描写などに物足りなさは感じますが、会話に登場人物たちの優しさが表れていて、さわやかな印象が残りました。11しかない妻の音声を使って会話をするシーンをラジオドラマにしたらどうなるかが楽しみになりました。
僕と彼と、とある物語
音楽をモチーフとした会話劇が謎解き仕立てになっており、全体的におしゃれで楽しく読めました。場面設定がわからなかったり、中学生にしては人間関係がギスギスしすぎていないかと思うところはありながらも、音楽に絡めて、人間関係のあり方や理想を語るところに好感が持てました。
以上、11編