第14回 南のシナリオ大賞 一次審査通過作品

日本放送作家協会 九州支部

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第17回南のシナリオ大賞「Perfect Worldへようこそ」MP3オーディオドラマ配信中

第14回南のシナリオ大賞 一次審査通過作品

一次審査員の寸評(応募順)

山小屋の怪
ロープウエイ最終に間に合わなかった者が登山する話。が、その二人は亡霊だったというオチ。

飛梅2099
初めは現代の話だと思って読み進んでいたら、火星の話だと知り、驚いた。設定が細かく練ってあり良かった。

アイラブ マッキー
”withコロナ”時代のアイデアを上手くまとめた作品である。明るく前向きなマッキーと主人公の掛け合いセリフが楽しい。

ゆたかとお豊
昭和五十年代のストリップ劇場を舞台としたメロドラマ。昭和の流行歌をふんだんに盛り込み(音楽著作権の問題もあるにはあるが、それはさておき)まるで歌謡ショーのような構成。題材・人物・ストーリー・セリフに時代の匂いが満ちている。お豊はフェリーニのジェルソミーナかカビリアか? 心情を吐露するセリフが素直でいじらしい。
個人的な感想になるけど、神代辰巳「一条さゆり濡れた欲情」など往年のロマンポルノを思い出しながら、楽しく読ませていただいた。

待ち合わせ
物語の流れがシンプルでわかりやすかったです。
五島と豊洲の魚市場と人間関係をつなげたところも魅力的でした。

疫病神と守り神
おじいを気にかけ、沖縄に帰省する孫。だが、孫にはタチの悪い娘(コロナウイルス)が張り付いていた。おじいを守るため、シーサーの精霊達が奮闘する。コロナを擬人化した点が面白い。沖縄の方言が、更に脚本に面白みを増している。三線の音色も心地よい。

はてるま
夢をきっかけに、二年間に亡くなった妻の生まれ故郷「波照間島」に向かう80歳の主人公。主人公が非常に明るく行動的だからか、テンポよく話が進んでいく。遺影があの世のパスポートになっている設定や、ラストに夢の女性(妻)が再度現れるところは少し分かりづからった。

どこにでもいる夫婦
書き慣れている感じがした。モノローグの使い方、「殺した」という設定、トイレットペーパーの使い方などが秀逸だった。

とあるリクルート
登場人物は主人公と泥棒の鉄のほぼ二人だけだが、セリフの掛け合いがテンポよく楽しい。ラストでの介護士の登場やセリフはちょっと分かりづらい。それと妙に「棒」という言葉にこだわっているので、「棒」にもオチがほしかった。

溟海の声
南の海、ダイビング、島の伝統行事というシチュエーションがいいです。短いストーリーでも起承転結が明快で、息を飲むアクシデントがあり、主人公の成長もあります。

ファンファーレ
離婚してまもないふたり。復縁を応援したくなるふたりの台詞とストーリー展開が巧み。手なれた印象はあるが、登場人物にエールをおくりたくなる作品。以上。

幸福の神事
タイトルの神事という言葉に惹かれました。母親が山笠を好きだった理由。現代の家族の形態の子ども心のさみしさに共感させられるものでした。

海からの約束
舞台は八重山。まるでジブリ作品を思わせるようなファンタジーだが、人魚伝説・風土記といった言葉が作品全体に落ち着きを与えている。人魚の赤ちゃんを見つけた少年を主人公に話が展開し感動的なラストを迎えるが、最後のセリフが亡くなったおじいちゃんというのはもったいない。主人公が途中で交代したような印象を受ける。

すけすけののろい
会話の流れが自然でテンポの良い家族ドラマ。タイトルがフックとして効いていて、ラストのもうひと笑いに悔しいがダメ押しされた。

55年のありがとう
ストーリーはなかなかありえない内容なので選考に残る可能性は低い。しかし、これは作者の実体験だろうか、最初の二人の会話からちゃんと台所の匂いがした。

岩戸さんのお怒り
ストーリー展開…手がナイフとフォークになり、スプーンになるというのも面白かった。ラジオドラマには最適かもしれないと思ったことです。

壱岐なポルトゲー
*二人の間もうひとネタ出来事が欲しい
*壱岐の情報がもう少し欲しい

夏空の大漁旗
海で遭難した漁師の夫を待つ美咲。そんな折、美咲の息子が漁師を志す。大反対の美咲。ある日、息子は大シケの海へ一人で船を出すが…。長崎弁のセリフが臨場感を増し、どんどん引き込まれていく。夫が亡くなった海の上で大漁旗を掲げるシーンは胸が熱くなる。

時に溶ける
軍艦島という題材に引きつけられます。コロナ禍にあって、大学で軍艦島を保護できるような建築法をスムーズに学べず、ただ時間が無駄に過ぎていくことへジレンマを覚える武藏。世界遺産だから保存されて、過疎地の村だったら消滅してもいいのか? 彼女の問いが刺さります。

熊オトコ
物語の運び方がうまく評価につながった。
ただし、終盤に主人公の男の子と同級生の心が通じ合う展開があるが、物語の中心が主人公と熊オトコの会話であるため、やや説得力に欠けると感じた。
主人公と熊オトコの会話の中に同級生の話題を持ち込むともっと重厚感が増すように思われる。

ハニーとダーリン
樹と話せる少年とのファンタジー。いまのこどもにもその能力、自然と共生するちからがあることを、設定と物語に工夫を凝らしまとめている。以上。

ごぼ天うどん食べた?
過干渉気味な人情みある親子と、孤独な少年が、お腹とこころを満たしていく物語に、温かい気持ちになります。ラジオドラマで、コテコテの博多弁を喋るお父さんを落ち着きがないコメディタッチに演出すると面白いだろうなと思います。

あの日、いえなかったこと
構成のしっかりした作品で、主要人物二人の出会いから別れまでがテンポよく展開されている。
感情の高まりが伝わってくる台詞がもう少しほしいところ。

砂に埋もれて
休暇を利用して指宿を訪れるカップル。そこで男性は女性にプロポーズするつもりだったが、事件が起き……。大人の恋愛ドラマとして起承転結がよく整っている。同じ業界なのに、言わないことはバレていないと思っている男性、知っていながらSNSでわざと嫌味なつぶやきをする女性。どちらも馬鹿だけど、大人だからこそ素直になれない男女の言い合いのセリフが身につまされる。また、事件を境にプライベート(恋愛)と仕事のスイッチを切り替えていく女性の描き方も上手い。

阿蘇に流星
シチュエーションが良い。馬と少年、広大な阿蘇にある乗馬クラブ。
登場人物が男性ばかりというのが、少し気になったがそれぞれ個性があり、逆にそれも面白いと思った。ラストに向かうプロセスの中で、忍がゼロに乗って乗馬の試験のための練習風景は、どんな音で制作されるのか、期待してしまうシナリオ。ただちょっと欲を言えば、ゼロと忍のふれあいが、もう少し見たい気がした。

趣味は言えない
この主人公の「死に場所探し」の設定はいらなかった。もったいない。稚拙だとは思うが、もう少しストーリーの作り方勉強したら面白い話が書ける!と伝えたくて評価しました。

蘇った男
生きることに絶望した男の耳に奇妙な声が聞こえてくる。声の主は、ベッドや冷蔵庫など。シュールで不思議な話だが、セリフが上手く、どんどん先が読みたくなる。『希望』と話をするあたりからの展開は勢いが増し、ラストには男を応援したくなる。

そこ吹く運命
世界中を吹き回って旅をしている「風」を主人公としたフェアリーテール。セーリング部の高校生を応援する(南)風が可愛い。若者の躍動感が伝わってくるストーリーは爽やかで好感度高い。祖母の死に不自然な作為が感じられたのと、魅力に乏しいタイトルがマイナスポイント。

バースデイ
現実離れした設定だが、お母さんのお腹の中にいる弟と、そのお兄ちゃんになる男の子とのテンポある会話がおもしろい。兄は、生まれる前の弟と神社の社の中で出会う。一体どんな姿なのかと想像しながら読み進めたが、シナリオには「謎の男」とあるだけ。この男の声をどのようにするかで作品がおもしろくなるかもしれない。登場する地名が「九州の田舎」というひと言だけなので、もう少し具体的な設定をしてもらえると嬉しい。

一緒の印
宮崎県の天安河原という場所を上手に取り入れている作品。両親を亡くして心を閉ざしていた少年が、周囲の想いに触れてようやく泣けるシーンはラストを感動的にしている。ただ、登場人物の相関図が少々分かりにくい。宮崎の家は誰の家なのか。主人公にとって、彼らは何者なのか。あらすじを読めば理解できるが、リスナーはあらすじを知らない。初めてドラマを聞いたリスナーが一発で理解できるか、その点は重要だと思う。

奴隷が踊る
ありふれた大家族。しかし実は8人兄弟の長女に、両親、特に母親が言葉巧みに、弟妹の面倒、家事、を押し付けていた。暴力を振るうでもない、モラハラで心を切り刻むでもない、ただ家族という錦のみ旗のもと、長女を家族にしばりつけているのだ。これも立派なハラスメントだ。自由になりたい、家を出たいと訴える長女を説得する母親。しかし話している途中、母親がまた妊娠していることに気がつく長女。でも母親は言葉巧みにすり抜ける。本心がわかるラストだが、この物語のような母娘のような関係は意外に多い気がする。主人公にエールを送りたい作品であった。タイトルは再考?

違和感症候群
日常のあるある違和感を「症候群」としてくくっていて、共感が持てる内容。九州の地名や伝統楽器を上手に取り入れていて、話の展開と会話がおもしろい。
工夫すべき点は、場面転換のSE。マウスのクリック音や走る車の車内、といったものは耳で聞いただけでは分かりにくい。SEはラジオドラマの難しさでもあり、おもしろみでもある。セリフ同様に熟考されることをのぞむ。

青春の死体
*ありえない話だけど、青春の1ページを切り取った共感を呼ぶ一篇
*もう少し丁寧に書いてほしい

麦酒の味
冒頭のモノローグが良かった。言葉の使い方がいい。ストーリーにもう少しひねりがあると、更に良くなる。

墓参り代行
別れて暮らした父親の墓参りを奇妙なめぐりあわせで代行することになった息子。舞台が長崎というだけで、物語になる。父親と暮らしたかったという男の子。その優しい気持ちは父親には伝わっていたという祖母の言葉に報われる。

ほてぱき
この作品が私が読んだ中では一番です。出てる作品が多いようでしたら、この作品だけにしてもらっていいです。「ほてぱき」で検索させられました。私の負けです。会話が秀逸でありえないものを信じさせる不思議な魅力があります。

来年の虹
会話のリズムが心地いい。
バケツが刻むビートがパーカッションの音に変化していくところなどに
オーディオドラマとしての音の表現にもこだわりを感じる。

ご祝儀の相場って?
*男の馬鹿さと女性の性
*話が分かりやすいというのがいいのか悪いのか…。

青いさくらは散りぬるを
昇子はいつのまにか別れた夫とともに寝台特急『さくら』に乗っていた。夫を傷つけた過去を悔やむ昇子だったが、夫は昇子に別れを告げて去っていく。作者の力量がうかがえる切ない物語。別れた夫からの伝言を受けとるラストシーンは涙を誘う。方言の部分はなるべく方言で書いてもらえると、更に感情移入しやすくなる。

月の石の指輪
冷蔵庫に残っている食材で冷やし中華を作ろうとしているところへ、幼馴染の男から電話がかかってきたので、スピーカーホンに切り替え、適当に相手しながら料理を続ける。テレビでは月ロケット打ち上げの実況が生放送されている。
「給料3ヶ月分のダイヤモンド」で男が狼狽えたりするくだりが浅い。「ヤダヤダヤダ!」はないよ。人物の性格(と職業)をガッチリ作ったうえで、セリフを吟味してほしかった。とは言え、アイディアをよく熟成して電話だけの場面に落とし込んだところは巧い。上等ラブコメ。

宇宙からの暇つぶし
宇宙で遭難中の女性宇宙飛行士と偶然、通信できてしまった通信マニアのお話。
宇宙での遭難という緊迫感のある設定ではあるが、コミカルな展開とほのぼのとした台詞が楽しい作品となっている。

桜の火傷の痕
*「2番目」の父親、という点が面白い

つれづれなるままに
高校から30年来の親友が早世した。昨日病室でいつものように雑談したのに。訃報をしり、友人との死別をなっとくする主人公。そこには、死を得心できる友人関係があった。喪失感と充実感をかかえた主人公のうしろ姿がうかぶようだ。以上。

いつか、きっと
湧水の精が人間に恋をするファンタジー。着眼点が面白いと思った。タイトルの「いつか、きっと」の意味は何だろうと、読み進めた。
結局、湧水の精道夫が、人間恵美に失恋して、すべての湧水の源である両親から独立し、新たに別の湧水を作り独立するのだが、失恋した人間にいつかきっと、どこかにある僕を(湧水)をみつけてほしい。そんな希望のこもったタイトルであった。それにしても、道夫と恵美のすれ違う会話が面白く、特に破綻もなく読めた。水の音がどう表現されるのか楽しみな作品。

プラネタリウム、焦がれて焦げて
会話のぎこちなさ拙さが、「なりたい人になりきってプラネタリウムでデートする」という高校生男女二人の関係性にうまくはまり魅力的である。独特なセリフ回しが作品に独自の色合いを添え、この作家にしか表現できないであろう奥行のあるドラマとなっている。

ネコが鳴く
会話のテンポが良かった。また、主人公の葛藤も良く書けていた。

不知火
雰囲気がいいな。そして登場人物の会話がリアルでどうしようもなく切ない。本当に見られるかどうか分からない蜃気楼。大切な男性を失って、その男性が生前に見たがっていた不知火を見ようとやってくる二人の女性。しかも二人の女性は同じ男性のことを想い、偶然出会い、くらがりの中で会話を交わし……。こんな偶然あるのだろうかと思いつつも、あるのかもしれないと思ってしまう。そしてラストで不知火という幻想的な光景が人間の生と死、あらゆる感情を洗い流していくようで、圧巻。

カニ食べに行こう
ストーリーは破綻してない。最後の「はあ」の「何言ってんだこの人」感がただのありがちな感動ものにしてなくていい。ただパンチまではない。

無音の伴奏
恋心を抱く少年とバーのママ。平凡な物語だが、底流に少年期特有の心情と女性観がながれ、オーディオドラマで聴いてみたくなる作品。以上。

カナリヤ
コロナ版カフカの「変身」。評価が難しいので上の方の判断を仰ぎたい作品。

グッドラック
場面が一場で、ラジオの実況中継のような、リアルタイムドラマであった。引きこもりの少年と担任教師。ありふれた設定だが、善意の押し付けではない教師のキャラに好感が持てた。暗い話題になりがちな引きこもり問題だが、全編を通して明るく会話がすすむ。これは、やはり教師のキャラ設定が成功しているのだと思う。15分の中に、あれこれ入れず、一場面に絞ったのは、良かった。シリーズのラジオドラマにすると、面白いとも思う。

博多ちゃんぽんの音色
自分のルーツを辿る男と、路線バスで乗り合わせた少年との物語。男のモノローグが妙に面白い。意欲的にいろいろな音が取り入れられているオーディオドラマ。

以上、52編

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